続々ユノさん

200人ものワケアリの方々を前に演奏するとなるといつもと雰囲気が違い

「多分、刑務所の慰問に行かれるような方はこんな感じではないのか・・・」

みたいな緊張感に包まれる。

ご主人のアリさんは慣れたもので

「毎回オープニングはこの曲でスタートするんだ」

とアレクサンダーなんとか、って曲が始まる。

「???」

と思ってると

「どこでも良いから好きなとこでギターでオブリガード入れろ!」

とアリさんの目が言ってる(汗)

「せめて曲のkeyぐらい事前に教えろ!」

と心で呟いて何とか知らない曲に溶け込もうと努力するのでした。

演奏がスタートするときに小生以外にもう一人ギターを弾くおっちゃんがいて

どうもこのおじちゃんもホームレスの方らしい、というのが雰囲気でわかる。

が、びっくりびっくり!

このおじちゃんは1980年代にはコロンビアレコードに所属してスタジオミュージシャンだったらしい!(アリさんの解説による)

「そんな方がなぜにホームレスに・・・・」

いや、聞いてはいけない。人はそれぞれに事情があるのだ。このおじちゃんも好きで今の暮らしをやっているわけではないはずだ。

とめちゃくちゃ興味あったけど、何も質問せずただおじちゃんのギターの邪魔をしないように気をつけて一緒に演奏する。

それがさあ、本当にすげえ上手いんですよこのおじちゃん。歌詞カードはユノさんが張り出してくれてるけどコード譜なんて書いてないのに、コードを奏でているんですよ。

はー、この手の弾きて過去に数人だけど見たことがある。きっと音楽理論的な何かを知っていて正確な演奏ではないかもしれないけど感性が体に宿り、なんとなくでも演奏できちゃうんだな、って思った。

ユノさんの話をせねば。

ユノさんはこういうことを20年近くもやってるので失礼ながらホームレスの方々とも顔見知りの方が何人もいらっしゃるらしく「元気だった?」とか気軽に挨拶してる。

驚かされたのは現場にはテントがたくさん設営されその中でホームレスの方が亡くなられた状況や、名前がわかるかたは写真が張り出されて供養されているのだ。

中には「この方に心当たりある方は連絡ください」と張り出されている。

「生田川橋の下。凍死・どこそこの交差点、交通事故死・原因不明・心臓麻痺・・・・」

「凍死ってどうなんよ。原因不明・・・なんじゃそりゃ」

この世の最後の瞬間が橋の下、や道路、ってすさまじさに思わず眉間にシワがよる。

世界一裕福な日本でそういうことが普通にあるんだな。と気分が沈む。

ホームレスの方々もその写真や亡くなった方の情報をじーっと見ている方もある。

小生にとっては何もかもが初体験で心のあちこちが痛んでいるのだけどご主人のアリさんは演奏に気合が入りすぎて、小生の心の状態なんぞまるっきり気にしちゃいねえ。

次々にリクエストを受けては演奏し、を繰り返している。その度にユノさんが歌詞カードを張り替え、マイクの消毒を一曲づつやってる(コロナの時期ではありませんが)

さらに続く・・・・


人生道半ば

Bluesとは「生きて出会うこと!」 友達とは「自ら選ぶことのできる家族のこと」 そう信じて今日も!

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